せかいがひっくりかえったおはなし
早朝、まだ住民は静まっていて、街頭も少ない寂しい町から、ふたりの世界に飛び込んだ幻想的なお話し。
ある日僕は君に恋をした。
理由はわからない。
ある日僕はただ心から君の存在を必要としていた。
僕は君を海に誘った。
海は死と隣り合わせだというのに、そんな所に呼び出して何をするのかな。
前夜、寝れないほどに僕の心は君を描いていた。
こんな気持ちになったのは初めてだった、胸が痛くて痛くて壊れそうで僕はそんな気持ちを押し殺して明日へ向かった。
その日、目覚ましより早く起きた。
早朝だ。
僕は海に走り出し、君を見つけた。
早朝と言えど、まだ空は真っ暗で、少ない街頭に照らされた君を見た。
なんだか照れくさくて。
早朝はひとりだけの世界、ひとりじゃ寂しいから手をつないだ。
ふたりの早朝を繋げふたりの世界を創り出す。
君の手は冷たく寂しそうで僕は心臓の熱を右手に流し込んだ、と思う。
虚無の中で海を見つめ、ふたりはいろんな色の宝石の涙を流した。
宝石の涙は風に乗って浮かび、ここじゃないどこかへ海を越え、時を越えきっと咲くだろう。
ふたりの世界から現実世界へ時間軸はずれていて、、
歩き出す僕たちに暖かな日差しが降り注いでいた。
祝福されたように